つわぶきの新芽を、屋久島では「つわんこ」と呼ぶ。「つわの子」が訛って「つわんこ」だ。つわぶきはキク科の多年草で、ちょっとした草地や道わきなど、島中至るところに生えている。秋にはキク科らしい黄色い花を咲かせ、春には「産毛」に覆われた新芽が、しんなりと顔をのぞかせる。
屋久島では「つわんこ」の葉柄を食用とし、煮物やつくだ煮、あるいは炒め物などにして食する。春先からこの時期にかけては、他の山菜などと一緒に「つわんこ」を摘んでいる人をちょくちょく見かける。移住して来たばかりの頃は、それを食用にするという認識はなく、まるで雑草のようにそこらに生えているせいか、食べられると聞いても、別段それをとって食べようという気にもならなかった。東京にいた頃は、道端の草をとって食べることなどしなかったので、無意識のうちに拒否していたのかもしれない。
「つわんこ、とりに行かないか?」
ある日、娘と息子がそれぞれ学校と幼稚園から帰宅すると、「つわんこ」とりに誘ってみた。そう思い立ったのは、最近居酒屋で口にした、バターと塩で炒めた「つわんこ」料理がおいしかったからだ。人間そういう体験をして初めて行動に移すものである。
「つわんこって?」
「つわぶきっていう、食べられる草。天気もいいから散歩がてら行ってみようよ」
「いいよ。早く行こー!」
「みんな行っちゃうんなら、わたしも行く……」
乗り気の息子とそうでもない娘を連れて、初めての「つわんこ」とりへ。玄関を出ると、駐車場のわきにもつわぶきはあちらこちらに生えている。





