屋久島では、早くも海にまつわるイベントが行われた。「屋久島海祭り」だ。毎年この時期には、島はすでに初夏の陽気でTシャツ1枚というスタイルだが、今年は「海」というにはまだ涼しく、長袖が手放せない。3月末には30℃近くまで気温の上がる日もあり、そのときばかりは夏の訪れを予感したが、4月に入った途端ぐっと気温が下がり、夏の足音はすっかり遠のいていた。
例年ゴールデンウィークを迎える頃、屋久島の砂浜にはウミガメが産卵に訪れるようになる。と同時に、多くの観光客も訪れる。屋久島観光協会の主催する「屋久島海祭り」は、こうしたシーズンを迎える前に、全島の海岸や港をきれいにしようという島を挙げての一大イベント。海岸清掃後は、マリンジェットやバナナボート、カヌーなど、海や川の「アトラクション」が体験できるという「ご褒美」付きだ。

「今度の土曜日、海祭りがあるんだけど、行ってみる?」
我が子らを誘ってみた。
「うみまつりって……?」
「午前中は海でゴミ拾いをして、午後からカヌーとかバナナボートに乗せてくれるんだって」
「わたし、カヌーに乗りたいっ!」
昨年の夏祭りで、初めてカヌーを体験した娘が食い付いた。
「でも、ちゃんとゴミ拾いをしないと、乗せてもらえないからね」
そんな決まりはどこにも書いてはいないが、それは社会における暗黙のルールだ。




