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山桜の花見

2007年4月16日

屋久島では「お花見」をすることがない。どうもそういう習慣がないらしい。東京にいた頃は、桜の咲く季節には毎週のように、弁当とビールを持って近所の「お花見スポット」へ花見に出掛けたものである。もう10年も前の話だが、僕たち夫婦の結婚披露宴も、ゆかりの深い上野の桜が満開になる時期に合わせて、不忍池の桜並木を一望できるレストランで行った。そんな僕たちにとって、花見の機会が極端に減ってしまったのは、少々寂しく感じる。

そもそも屋久島には、桜の代表とも言える「ソメイヨシノ」が少ない。一部の公園や学校などで、ちらほらと目にする程度だ。南の島の桜は、その温暖な気候ゆえ、本土に比べてずいぶん早い時期に満開を迎える。場所によって多少の前後はあるが、今年は3月上旬から中旬頃が満開だった。季節柄「入学式」、「門出」、「スタート」などといった一般的な桜のイメージに対して、屋久島では言ってみれば「卒業式」、「締めくくり」といったところ。年度末という時期もあって、花見をする気分ではないのかもしれない。また、ただでさえ雨の多い屋久島において、この時期は特に雨が降りやすく、花が散るほどに強く降ることもしばしばある。僕の勝手な見解では、こうした(桜が満開となる)タイミングの悪さと、雨が多いことによる花見日和の少なさが、花見文化の希薄さにつながっているのではないかと推測している。

一方、この島にはソメイヨシノは少なくとも、山肌を駆け上がりながら咲いていくヤマザクラ(山桜)は見応えがある。これを楽しみにする島の人は多く、その壮観な景色を眺めに山へ行く人も少なくない。それこそ純粋な意味での花見といえる。

昨年の春、僕も山桜の咲き誇る奥山の風景が見たくて、そのときが訪れるのを待っていた。ところが突然の「春の嵐」で、花は満開と同時に儚くも散ってしまい、期待していた風景には出会えなかった。山桜の花見も屋久島においては、天候によって大きく左右されることに変わりはない。そして今年も「リベンジ」とばかりに、そのタイミングを虎視眈々と狙っていた。

今年は4月の2週目あたりが見頃ではないかと聞いていたが、やはり天候に恵まれず、いたずらに時は過ぎていく。いよいよしびれを切らしそうになっていた先週の半ば過ぎに、ようやく青空が広がった。おそらくチャンスはこの日しかない。一寸の迷いもなく、昨年と同じ奥岳の山並みが一望できる「太鼓岩」へと向かった。

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