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魅惑の登山道

2007年2月26日

標高1360メートルに位置する淀川登山口。九州最高峰・宮之浦岳(1936m)へと続くメインルートの入口とあって、シーズン中は多くの登山客で賑わう。今ではクルマで容易にアクセスできるが、道路が整備される以前は、標高100メートルに満たない尾之間(おのあいだ)集落から続く登山道を、えっちらおっちらと登ったのである。

そんなわけで、今ではほとんど通る人もいない「尾之間歩道」。登山口は集落の奥まった場所、名湯・尾之間温泉の脇にある。その道を山の上から下ってくれば、下山してそのまま温泉にありつけるという魅力的なルートでもある。標高差約1300メートル、距離にして12キロにおよぶこのルート、体力的にかなりきついことは想像に難しくない。しかしその分、屋久島ならではの、次々に移りゆく植生の変化を、最後に温泉付で楽しめるというわけだ。

2月に入ってしばらく雪で閉ざされていた淀川登山口だが、突然の春の陽気に一気に雪が融けて道は開通。その週末、以前から気になっていた「魅惑の登山道」を歩いてみようと山へ向かった。上を目指すだけが登山ではない。たまには温泉に思いを馳せながら、ひたすら里を目指して下ってみるのも悪くない。そう考えたのだった。

淀川登山口までは妻の運転するクルマで送ってもらう。前の週は一面雪景色だった道だが、その名残はもはや微塵もない。我が子らと雪だるまをこしらえた広場も、雪は跡形もなく消え失せていた。よく見ると、ある箇所だけに杉の枝が不自然に散乱している。それは僕たちが雪だるまの腕や顔を飾るのに使った枝だった。

登山口に到着すると、山の上はさすがに寒い。気温は氷点下とまではいかなくとも、せいぜい2〜3℃だ。久しぶりの山歩きなので、入念にストレッチをしてから森に分け入った。この辺りの標高帯は、モミやツガ、スギの大木が林立する深い森。ほんのわずかだが、陽の当たらない所々に雪が融け残っていた。

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