「雪だるま、つくりに行こうか」
「え!? 雪なんか、どこにあんの?」
「山の上」
「行くーっ!」
2月はじめの日曜日、積雪でしばらく通行止めだった通称「ヤクスギランド線」がようやく開通した。こんな日こそ雪遊びのチャンス。屋久島は前週の寒さから一転し、すっかり春のような陽気で、この日も20℃近くまで気温が上がった。こうなると雪が融けるのは時間の問題。この日を逃せば、今年は雪遊びの機会を逸してしまうかもしれなかったので、子供たちを誘ってみた。
遅めの昼食をとってからクルマに乗り込み、キーをひねる。外気温を表示するパネルは17℃を示している。
「こんなにあったかいんだぁ。雪、溶けてないかなぁ…?」
「行ってみればいいじゃん!」
我が子らはすでに行く気満々で、雪があろうがなかろうが、とにかく行かないと気が済まない様子。とりあえずクルマを走らせ、我が家から5分程で「ヤクスギランド線」に入る。それから徐々に標高を上げていくと、カウントダウンをするかのように、見る見る気温が下がっていく。
「あ、15℃になった!」
「もう、マイナス14℃だよ!」
いくら教えても息子は、その意味を知ってか知らずか「マイナス」をつけて読む。「マイナス=寒い」という概念だけは、なんとなく捉えているのかもしれない。
「100メートル高くなると、0.6℃下がるんだよ。ヤクスギランドは1000メートルくらいだから、船行のウチよりも6℃くらい寒いかな。実際にはもっと寒いだろうけどね…」
「………???」
子供たちにとっては少々難しい話だが、このときは理解できなくても、実際にそれを目の前で体感しているわけだから、なんとなく頭の片隅にインプットされるかもしれないと思った。そして20分も走ると、道脇に雪がちらほらと現れはじめた。

「あっ、雪だ! すごーい、きれーい!」
娘はしきりに感動しているが、融け残った雪が道脇にあるだけで、決してきれいという程の風景ではない。久しぶりに見る雪にテンションも上がっているのだろう。
「お父さん、まだぁ? もうこの辺でつくろうよぉ、雪だるまぁ…」
息子は待ちきれなくて仕方がない。
「この分なら、上はもっと雪が積もってるぞ〜」




