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裏山の知られざる名瀑

2006年12月11日

ずっと気になっていた滝がある。空港から我が家へと向かう途中に、僕の住む船行集落の、岳参りの対象となっている神山、船行前岳(三野岳)が正面に望めるポイントがある。その懐の深く切れ込んだ谷の奥に、端正な滝がかすかに見える。屋久町と上屋久町の境を流れる、落川(おとすがわ)の源流付近にある落の滝(おとすのたき)だ。遠目に小さく見えるだけだが、距離感からすれば落差はかなりありそうで、間近で見てみたいと思っていた。

ところが、地図を見ても道らしい道はなく、訪れる人も滅多にいないという。それでも行ったことのある人の話では、屋久島屈指の名瀑だという。我が家のすぐ裏山に名瀑があるとなれば、行ってみたくなるのが人情だ。

しかし、いざ行こうと思うと、なかなか天候に恵まれなかった。9月に入ってから、まとまった雨はほとんど降らず、珍しいくらいに天候が安定していた。落の滝を遠目に眺めても、すっかり細まった水の筋がかすかに見える程度。これではわざわざ行ったところで、見応えもないだろう。

11月も下旬に差し掛かると、ようやく屋久島らしく雨が降り続いた。これだけ降り続けば、滝はかなりその迫力を増す。期待に胸膨らむものの、今度は雨が降り止まない。天候とにらみ合う日がしばらく続いたが、12月に入ってようやくその日が訪れた。それまでどんよりとしていた空はすっきりと晴れ渡り、風もなく暖かい。この日を逃したら、次のチャンスはいつになるか分からなかった。

我が家からクルマでわずか5分。入口は隣の集落から山手へ少し上がったところにある。お茶畑の広がる一角から、おもむろに山の中へと切り込んでいく。少し歩くと、途中から道しるべと思われるピンクのテープが付けられていた。そこで安心したのが間違いだった。テープを頼りに谷沿いに広がる杉林の中へと踏み込んでいくと、突然テープが途絶えた。一度戻ってみるものの、テープはその方向以外には見当たらない。道らしいところを試しに突き進んでみるものの、蜘蛛の巣だらけでどうも雰囲気が違う。別の方向へも行ったり来たりしながら、結局1時間以上も彷徨ってしまった。

「今日は行くなということかもしれないな…」

そう思って諦めかけたとき、別の方向に広がる杉林の数十メートル先に、不自然な色をした何かがチラッと見えた気がした。もしやと思い、その方向へ行ってみると、ピンクのテープが木の枝に巻かれてあった。彷徨っていた場所とは全く違う方向だ。気を取り直して歩きはじめると、今度は随所にテープが巻かれてあり、地図と照らし合わせても正しいルートのようだった。

途中から急な登りが続き、沢の音が一段と大きくなった辺りから、谷へと斜面を下りていく。さらに音が大きくなり、明らかにそれは滝の音だと分かる。木々の間から、ちらりと白いものが見えた。

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