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大きな杉と小さな秋

2006年12月4日

12月になろうというのに、今年はなかなか寒くならない。昨年は南国でありながら、11月22日には島のてっぺんで初冠雪を観測した。ところが今年は、まだ雪の便りは届いていない。それどころか、里ではまだ暖かさが行ったり来たりしていて、Tシャツだけでも汗ばむ日があるほどだ。

そんな天候が続くと、山の上には訪れているはずの紅葉のことなど、気にすることもない。紅葉といっても、さすがにここは南の島。本土の「紅葉の名所」で見られるような、豪華絢爛な派手さはない。しかし、常緑樹の多い森の中、点々と彩りを加える紅葉も悪くない。特に屋久杉の巨木との競演は、なかなかどうして見応えがある。その対照的なコントラストは、他では決して見られない風景だ。昨年は11月上旬頃から、そんな秋の風情に思いを馳せていたが、今年は長引く暖かさにうっかりしていた。気がつけば11月も下旬だ。

「山の上の紅葉は、まだ色を残しているだろうか…」

ある日、ふと思い立って山へと行ってみた。目指したのは縄文杉へと続く、いつもの「巨木ロード」。屋久杉が多く立ち並ぶ、大株歩道と呼ばれるルートだ。この時期の屋久島の日の出は7時近い。荒川登山口に到着する頃は、まだ山は闇に包まれたままだ。夜が明ける少し前、山は薄っすらと青く、その肌を見せはじめる。周囲の木々は、だいぶ色づいているようだ。青味がかってはいるものの、赤や黄の色をぼうっと浮かび上がらせていた。

軽く身体をほぐしてから、ぼちぼちとトロッコ道を歩きはじめる。40分ほど歩き、標高700メートル付近に位置する小杉谷集落跡を過ぎると、沢沿いの随所でナナカマドが、鮮やかな赤色をまだ残していた。そしていよいよ「巨木ロード」に入ると、最初に出会う屋久杉が「翁杉」。縄文杉に次ぐ太さを誇る巨木で、なかなかの貫禄を漂わせている。彼は特に多くの着生植物を従えている屋久杉のひとつ。苔むした樹肌にしっかりと着生したアオツリバナが、淡いピンク色に染まっていた。いつもは緑の衣ばかりを羽織っている彼だが、このときばかりは毎年ピンクの衣で着飾る。その光景はまるで、一年に一度のお祝いの日に、子供たちが「おじいさん」を祝福しているようでもある。

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