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我が家の自然教育(前編)

2006年10月30日

「山へ行きたいっ!」

少し前までは、海や川ばかりに興味を向けていた息子だが、10月になって暑さも和らいできたからか、突然そんなことを口にするようになった。

10月も下旬に差し掛かり、ようやく1カ月にわたって続いた運動会シーズンも終わりを告げた。家族だけで過ごせる週末は久しぶりだ。

「今度の休みは運動会もないから、どこかへ遊びに行こうか?」

「うん、山へハイキングに行こーよ!」

その意思に変わりはないようだ。

「どこの山がいいかなぁ…」

娘は毎日、学校まで3キロの道のりを歩いているので心配ないが、果たして5歳の息子がどこまで歩けるか。それを前提にプランニングしなければならない。せっかく行く気になっているので、島を見下ろせるような場所まで行って、自分たちの暮らすこの島のスケールの大きさを、肌身をもって感じさせたい。そして達成感と自信を抱かせたい。そう思っていた。それらの条件を満たす場所のひとつに、「太鼓岩」と呼ばれる、白谷雲水峡のさらに奥に位置する絶景ポイントがある。空に向かって突き出たようなその岩の上は、それほど広くはない。誤って転落するようなことがあれば、眼下に広がる森へ真っ逆さまだ。

「大丈夫かなぁ…」

落ち着きのない息子を、そんな場所へ連れて行っても大丈夫かと妻は心配したが、バーチャルリアリティーのはびこる現代において、我が身の危険を「生」で感じることは価値のある体験だ。僕たち自身が気を抜かなければ大丈夫だろう。そして行き先は太鼓岩に決定した。

当日、里はよく晴れているものの、山には少々雲がかかっていた。絶景に出会えるかどうかは微妙だったが、子供たちは行く気満々。せっかくなら、天候条件のいいときに連れて行きたいのだが、もはや「延期しよう」などという提案は受け入れられそうになかった。

我が家からクルマで走ること約1時間。行動範囲の狭くなりがちな島暮らしでは、片道1時間の距離はちょっとした旅だ。見慣れた街並みを抜け、久しぶりの山道を走り、白谷雲水峡の入口までやって来ると、やはり山の上は曇っていた。そして9時半、準備体操をしたら、いよいよ出発だ。

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