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霧にけぶる縦走路

2006年9月11日

少し遅めの夏休みが取れたといって、かつての後輩が遊びにやってきた。昨年の夏に引き続き、2度目の来島だ。昨夏は九州最高峰・宮之浦岳(1936m)に日帰りで登った。今年は第二峰の永田岳(1886m)を目指す、1泊2日の縦走登山を計画した。

しばらく晴天が続いていた屋久島だが、予報ではこれから下り坂。島に暮らす僕は、好天を見計らって登りに行くことがほとんどだが、休暇を取ってはるばるやってくる旅行者は、そうも言っていられない。僕もこんなときでないと、雨の山へ行くことはあまりないので、いつもと違った風景を期待して登ることにした。

翌朝5時半。自宅近くのバス停で、荒川登山口行きのバスに乗り込む。観光シーズンのピークも過ぎ、さすがに空いていると思いきや、安房(あんぼう)を過ぎるとほぼ満席になった。ザックを膝の上に抱え、山道を小一時間ほど揺られながら登山口に到着すると、多くの登山客で賑わっていた。ここは縄文杉ルートの入口。屋久島で最も混み合う登山口だ。

天気はいい方に外れ、薄日が差していた。このまま雨の降らないことを祈りつつ、前を行く団体を次々に追い越しながら、トロッコ道を軽快に歩く。縄文杉までは、登山客は途切れることがない。縄文杉の観察デッキでは、記念撮影の順番待ちの列ができ、さらに多くの人でごった返していた。僕たちも並んで記念写真を撮り、しばし休憩したら、他の登山客とは反対方向に歩きはじめる。

縄文杉を境に、にわかに森は静まり返る。今までの喧騒が嘘のようだ。もはや人と出会うことはほとんどない。鳥のさえずりがあちらこちらで響き渡り、森の息づかいを感じるようになる。ヒメシャラの林立する赤い森や、いびつな樹形で存在感を放つヤマグルマに、幾度となく目を奪われる。縄文杉で引き返すのはもったいないくらいだ。

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