5月下旬、豪雨とともに、屋久島は早くも梅雨入りした。梅雨入り初日から「大雨・洪水警報」が発表され、屋久島の雨量はわずか1時間で80mmに達したとか…。数字だけを示されてもピンと来ないが、いわゆるバケツをひっくり返したようなどしゃ降りの雨だ。一歩外へ出ようものなら、全身ずぶ濡れ…。我が家の前の道には、側溝から水が「逆噴射」してあふれだし、山へと向かう道も通行止めになるほどだった。雨の多い屋久島に暮らしてからは、ちっとやそっとの雨では驚かなくなったが、この日はそのレベルを超えていた。

梅雨のときこそ、屋久島らしさを存分に味わえるスポットがある。滝だ。大雨の直後に行けば、大迫力の滝にも出合える。しかし、タイミングを間違えると、危険がともなうだけでなく、見物できないことさえある。梅雨入り早々の豪雨のあと、普段は滝壺付近まで近づくことのできる「大川(おおこ)の滝」では、展望台が水没するほど多量に落水し、近づけないどころか、真っ白で何も見えなかったという。これでは元も子もない。見応えのある滝を見るには、まさにタイミングが重要だ。
最近僕は、あえて少し「間」を置いてから、滝の写真を撮りに出掛けることが多い。大雨直後の豪快で男性的な表情も素晴らしいのだが、少し落ち着いた頃の、端正でスタイルのいい女性的な表情も素敵だ。滝にしても川にしても、水量は程々に多いくらいが美しい。
梅雨入りから3日間にわたって島に降りそそいだ多量の雨。その雨が上がり、頃合いを見計らって「千尋(せんぴろ)の滝」へ行ってみた。
「ボチボチ女性的な表情になっているだろうか…」。そんなことを考えながら到着すると、いつになく駐車場はレンタカーでいっぱいだった。せっかく島を訪れた観光客も、この雨ではどこへも行けなかったのだろう。まさに「雨後の筍」のごとく、一斉に外へ出てきた様子。
展望台まで行ってみると、大勢の人で賑わっていた。三脚を立て、一眼レフで撮影している本格派も数人いる。やはり、雨上がりの滝は見ごろということなのだろう。ところが滝に目を向けてみると、まだ少々男性的な表情を残していた。これはこれで、豪快すぎてカタチが崩れることもなく、美しい。何枚かシャッターを切ったところで、少し時間を置こうと、近くにある別の滝と、渓谷美を見せる川を見に行ってみる。




