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腕を失くした縄文杉

2006年4月10日

「この前縄文杉に行ったら、どことなくいつもと景色が違うんだよねぇ。妙にスッキリしててさぁ。よく見たら枝が折れとった…」

昨年末、「縄文杉の枝が折れた」というニュースが全国に流れた。僕はその数日前に、エコツアーのガイドをしている友人から、その話を聞いていたが、友人の口ぶりからは、ニュースになるほどの事態だったとは想像もしなかった。

昨年の12月は記録的な寒波により、屋久島も里で雪が積もるくらいに冷え込んだ。縄文杉は標高約1300mの山中に立つ。その辺り一帯にも、かなりの雪が積もったのだろう。南国・屋久島に降る雪は、湿っていて重い。その重みに耐え切れずに折れたというのだ。ニュースでは、折れた枝の直径は約60cm、長さは約4mにおよぶと伝えていた。今の我が家は、周囲を杉の人工林に囲まれている。直径60cmというと、その中でも比較的太い杉の幹くらいはある。それほど太い枝が折れたとなれば、見る姿もずいぶんと変わってしまったに違いない。

春になって、久しぶりに縄文杉に行く機会があった。いったい縄文杉は、どんな姿になっているのだろうか。冬の間、ずっと気になっていた。

屋久島を訪れる観光客も増え、春休みということもあって、朝早くから荒川登山口は賑わっていた。小雨の降る中、トロッコ道をしばらく辿る。今では歩き慣れたトロッコ道ではあるが、枕木につまずかないよう常に足元を注視していなければならず、単調になりがちだ。長い長いトロッコ道を終え、いよいよ大株歩道に入る。いつもと同じ急峻な道で息を切らし、いつも会う屋久杉の長老たちに会釈をしながら、ひたすら縄文杉を目指す。いつ来ても、彼に会いに行くのは大変だ。片道5時間の道のりは、やはり遠い。

ようやく縄文杉へと続く、最後の急な階段を登り切り、展望デッキへと躍り出る。たくさんの人だ。その人垣の向こうに、霧にけぶる縄文杉が、いつもと変わることなく、どっしりと鎮座していた。しかしその風姿は、明らかにいつもと違っていた。

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