アルピニスト(※)野口健さんが屋久島にやってきた。彼自身が校長を務める「野口健環境学校」開催のためだ。この環境学校は、富士山や白神山地など全国各地で開催され、今年度最後の締め括りが今回の屋久島だ。屋久島での開催は昨年度に引き続き2回目。今回は小学校を卒業したばかりの新中学生から高校生まで、合計13名の子供たちが全国から参加した。
野口さんと僕とは、僕が東京でサラリーマンをしていた頃からの付き合い。昨年度の環境学校は、僕が屋久島に移住してくる数ヶ月前に開催され、僕もカメラマンとして携わった。今年度はこの島が僕の「ホームグラウンド」になったこともあって、スタッフとしてプログラムのプランニングから手伝わせてもらった。まさに、「屋久島メッセンジャー」の本質的な仕事。子供たちに伝えたいことはたくさんあった。
開催当日、参加生徒たちが続々と屋久島空港に降り立つ。全員が集まると、早速バスで「屋久杉自然館」へ。今回の環境学校のコンセプトは、「屋久島の林業から環境を考える」というもの。まずは、この島の林業を語る上で避けては通れない「屋久杉」についてのレクチャーだ。屋久杉はなぜ巨木になるのか、材としての価値がなぜ高いのか、子供たちはそんな説明を興味津々に聞き入っていた。

翌日は縄文杉登山。往復約10時間という、子供たちにとってはかなりハードな行程だが、実際に屋久杉の巨木を多く見ることができる、醍醐味のあるトレッキングコースだ。途中には、かつて屋久杉伐採の拠点として開かれた「小杉谷」という集落跡地があり、屋久島の林業の歴史も肌で感じることができる。つまり、今回の環境学校のコンセプトにぴったりのコースというわけだ。
歩き始めて1時間も経たないうちに、ポツポツと雨が降り出してきた。昨年度の白谷雲水峡トレッキングに引き続き、今年も雨のトレッキングとなった。それでも子供たちは元気だ。一人もめげることなく「縄文杉」に会うことができ、その達成感にみんな笑顔を見せていた。下りも降りしきる雨の中、延々と続くトロッコ道を歩き通したのだった。
※:アルピニスト=アルプスを登る人。転じて高い山を登る登山家を指す言葉。ヨーロッパで生まれ、アルピニズムという山登りの哲学をもった登山家といった意味もある。




