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島の正月

2006年1月10日

屋久島に移住して初めての正月を迎えた。雨が降ってはいたものの、12月の寒波が嘘のような、上着のいらない暖かな元旦だった。東京にいた頃と違い、島の正月はずいぶんと静かだ。初詣のために朝まで運行する地下鉄があるわけでもなく、バーゲンで街がにぎわうわけでもなかった。

元日に散歩へ出てみると、人影もまばらで走っているクルマも少ない。いつも行くスーパーも休みで、街はひっそりとしている。港へ向かう通りに面した、昔ながらのおもちゃ屋さんだけが、お年玉を握りしめた子供たちで多少の賑わいを見せている。

今思えば、僕たちが子供の頃の正月は、東京でもそんなものだった。店はどこも休みで、正月の間の食料やら日用品やらは、年末に買い揃えておくものだった。年が明ければおもちゃ屋以外に行くところもなく、家族でのんびりと、お決まりの正月番組を見るのが常だった。

今となっては、そんな正月を不便に思う人もいるだろうが、正月の数日くらい、どうということはない。この島ではむしろ、台風で物資が入って来ない時のほうが深刻だ。そんな島の正月風景は、古き良き頃の正月をほうふつとさせ、どことなく懐かしさを感じた。

正月2日の午後は、家族で初詣へ出掛けた。島で最も栄えている集落、宮之浦(みやのうら)へクルマで向かう。僕の住む安房(あんぼう)に比べると、さすがに幾分賑わっていた。この町を流れる宮之浦川の入り江近くに、「益救(やく)神社」はある。ここは屋久島を司る神、彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)が祀られている由緒ある神社。昨年の4月、移住してきたその日に、そのままの足でお参りに訪れた場所でもある。

一の鳥居をくぐると、屋台が出ていた。人も少なく威勢があるわけでもなかったが、下町育ちの僕にとっては、何だか少し嬉しかった。とは言いつつも、余計な買い物をすることもなく、二の鳥居をくぐり拝殿へと進む。人でごった返すこともなく、それがまた一段と神妙な心持ちにさせる。自然豊かなこの島に暮らし、その恵みを享受していることに感謝し、今年一年の安全と健康を祈願した。

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