先週、列島に記録的な寒波が到来した。鹿児島市では11cmの積雪を観測し、なんと88年ぶりに12月の積雪量の記録を更新。お隣の種子島でも雪が降り、12月の降雪は40年ぶりだそうだ。もちろん屋久島にも例外なく寒波は押し寄せ、猛烈な寒さと風を連れてやってきた。
12月の半ば頃、そろそろ南の島の紅葉も里周辺が見頃だと思っていた矢先、島はその頃から急激に冷え込んではいた。ところが、猛烈な寒波に見舞われた先週の寒さは、地元の島人たちにも想定外で、「この島でこれほど寒くなったことは、いまだかつてない」と口々にしていた。南国とはまるで思えない、北国のような厳しい寒さが突然やってきた。
21日の水曜日の夜、バタバタとベランダの手すりをたたき続けていた強い雨が、カンカンという高い音に変わった。何かと思い、窓の外を見てみると、手すりの上で小さな白い粒がコロコロと弾けている。「あられだ」。しばらくすると音は止み、辺りはしんと静まり返る。すっかり止んでしまったのかと思い、窓を開けてみると、この島では今まで感じることのなかった、キンキンに冷えた空気が肌をかすめて部屋に吹き込む。部屋から漏れるわずかな灯りに、白い筋が流れ込んでくる。「雪だ」。
雪が降ると、なぜだかいつもワクワクする。子供の頃、雨が雪に変わった夜は、やっぱりワクワクした。雪の降り積もった真っ白い朝を見るのが楽しみで、まだ積もってはいないかと、10分に1回は窓を開け、なかなか寝付けなかったものだ。そんな都会育ちの性か、この歳になっても雪への憧れは変わらない。朝には真っ白な風景が仕上がっているイメージを抱きつつ、布団にもぐりこんだ。眠りに就くまで、やっぱり窓を3回開けてしまった…。
翌朝、目覚めると同時にカーテンをさっと開け、露でびしょ濡れになった窓を一気に開け放つ。一面の銀世界というわけにはいかなかったが、里から眺める、いつもは緑の前岳の風景は一転して、白い雪山の風景となっていた。東京では当然ながら、これほど間近に雪山の風景を望むことはなかった。南の島へ移住してきたにも関わらず、雪山が日常の風景に加わるとは、何とも妙な話だ。





