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日常を離れてリゾート気分に浸りたくなると、家族でここを訪れる。島の中でも特に温暖なこの地域は、天気さえ良ければ、冬でもポカポカ陽気で気持ちがいい。行くとまずは、雄大なモッチョム岳の風景を眺めながらの優雅なランチ。ひとしきり非日常の世界に浸ったら、子どもたちと芝生のきれいな庭へと躍り出る。すると目の前に、視界を遮る人工物など一切ない、モッチョム岳の雄姿が覆いかぶさってくる。この瞬間、僕の頭の中は全くの無になり、カラダから全てのマイナス要素がスーッと解き放たれていく。

子どもたちはこの芝生の上を、裸足になって駆け回る。僕はこのホテルの広大な敷地に広がる遊歩道を歩くのが好きで、お花畑の小道やジャングルのようなトレイルなど、変化に富んだコースを巡る。モッチョム岳を仰ぎ、南国らしい木性シダ「ヘゴ」を見上げ、太陽に透きとおるハイビスカスを愛でる。

そこは確かに自分の住む屋久島なのだが、日常に流れゆく島の風景とは違って見える。おそらくこのときの僕は、島人としての視点ではなく、かつて旅人だった頃の視点でこの島を捉え、その美しさを再認識している。

島での暮らしは、ともすると、変化の少ない日常に埋もれがちだ。この島の美しい風景も、気付かないうちに、日常にある当たり前の風景と捉え、感動が薄れていくのではないかと、ふと思うことがある。そんなときにここを訪れ、憧れのモッチョム岳を仰ぎ見ると、改めてこの島を愛おしく思い、ここに暮らす幸せを感じる。いつまでもこの島を、そんな風に感じていたい。

菊池 淑廣(きくち・よしひろ)

1969年、東京生まれ。1993年にスポーツウェアメーカーに入社。一貫して広告宣伝の仕事に携わり、自ら撮影、コピーライト、デザイン制作までマルチにこなす。

2005年4月、家族共々屋久島へ移住。それと同時に広告事務所「屋久島メッセンジャー」を設立し、雑誌やウェブサイトなどを通じて屋久島の情報を発信しながら、広告プランニング、撮影、コピーライト、ロケ・コーディネートなど、幅広く活動している。著書に「屋久島で暮らす あるサラリーマンの移住奮闘記」(山と溪谷社)。

ブログ「フォトライター菊池の屋久島移住ライブ日記」も公開中。

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