(前編はこちら)
再び歩き始めると、「七本杉」と呼ばれる立派な屋久杉が現れる。その大きさに圧倒され、さらに苔むす「もののけ姫の森」に癒されたら、さらに上を目指して歩く。ここから先は、我が子らにとってはまだ見ぬ森だ。一段と美しい森と、一段と険しい道が続く。歩くこと約40分。標高1000メートル近い「辻峠」に到着したとき、時計はちょうど12時を指していた。
「ねぇ、お腹空いたぁ〜」
「ここでお昼にしようか。そうしたら、あとはその山を登ったら太鼓岩だよ」
ここで体力の回復を図ったら、太鼓岩まではあと少し。急な斜面を20分ほど登ったら到着だ。早速お弁当を広げて食べ始めると、汗ばんだ体が見る見る冷えてくる。里ではまだ夏の名残を感じるが、さすがにこの辺りまで来ると、すっかり秋の空気が漂っている。

「お父さん、寒いからもう行こう」
「じゃあ、荷物を背負ったら出発しようか。ここから急な登りだから、木とかにつかまりながら、ゆっくり着いておいで。ひっくり返ったら下まで落ちていっちゃうからね。気をつけろよぉ」
決して大げさではない。大人でも手を使いながらの急登だ。子供の目には、まるで壁のように見えているはず。少々危ない場所でこそ、子供たちのバランス感覚は磨かれる。そしていよいよ、太鼓岩の前まで登ってきた。
「すぐそこが太鼓岩だけど、ひとつだけ約束ね。絶対にお父さんとお母さんより前に行かないこと。じゃないと、落っこちて死んじゃうからね。分かった?」
「はいっ!」




