(文=長谷川 ゆか)
今英国で最も話題になっているシェフといえば、間違いなく、ヘストン・ブルメンタール氏であろう。英国に3軒しかない、ミシュランの三ツ星を冠するレストランのオーナーシェフであり、「分子料理法」を取り入れ、英国の伝統的な調理法と化学を融合させた斬新な料理を生み出すことで世界的に有名なヘストン。最近英国のキー局のひとつ「チャンネル4」で放映が始まった、彼をフィーチャーした料理番組「ヘストンズ・フィースト」では、“キッチンの錬金術師”の異名をとるカリスマシェフのクリエイティビティがストレートに映し出され、大きな話題をよんでいる。しかし不運にも、番組オンエアの数日前に、彼のレストラン「ファット・ダック」で奇怪な食中毒騒ぎが起こり、自主閉店を余儀なくされることに。すぐに地元の健康保護局が店内の隅々までを調査したが、結果はすべてネガティブ。“ニトロ(液体窒素)スクランブル・エッグとベーコンのアイスクリーム”などに代表されるように、実験的な料理がメニューに連なり、衛生面では120%のケアを怠らないことでも知られている「ファット・ダック」にとって、食中毒とはまさに青天の霹靂。しかし大事に至ることなく、健康保護局からの許可がおり、3月12日のランチからレストランの営業が再開された。この謎の事件により、新TV番組「ヘストンズ・フィースト」に、良くも悪くも大きなスポットライトがあたることになったが、その不遇な出来事を払拭してしまうくらい、この番組はかなり興味深いものだ。




