Text & Photos:Yori Irisawa
アメリカ大統領選まで、ついに残すところ1カ月を切った。大統領選のニュース報道では、政治専門家のコメントが頻繁に聞かれるようになったが、アメリカの一般市民の肉声は、私たち日本人にはあまり聞こえてこない。何においても明快なことを好むニューヨーカーは、8年間のブッシュ政権を経て、アメリカの地位が低下しつつある昨今、果たしてどちらの候補を支持し、何を期待しているのか本音を知りたいと思った。
そこで、今回私は、20代後半〜40代の知人たちに多大な協力を得て、アメリカ国籍を持つニューヨーカー男女10名のリアルな声を収集してみた。
ミュージシャン、ブックストア・マネージャー、コンピュータ・メーカー、インテリア・デザイナー、交通機関勤務、NPO団体勤務、金融関係者、マスコミ関係者まで、多岐に渡る職業のニューヨーカーの本音を、実名、匿名を交えて、特別に披露したいと思う。
クレイグ・コウケツさん
(日系アメリカ人・シェフ)

クレイグさんは、日系3世。季節ごとにメニューはもちろん、店名、インテリアまでも変わり、地元メディアから好評を得ているレストラン『パーク・アヴェニュー(オータム)』のエグゼクティブ・シェフである
私はオバマに投票します。私だけではなく、この国には(高額所得者ではなく)一般国民を大切にしてくれる大統領が必要です。しかし、オバマが選ばれたとしたら、ブッシュ政権によるだらしない金融政策と、“富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透する”というトリクルダウン理論の結末でもある、近年の金融危機を継承しなければならないのが気の毒ですけどね。
イライザ・ガットフィールドさん
(インテリア・デザイナー/40代)

ロングアイランドを拠点にインテリア・デザイン会社「Custom Cool」を創設し、数々のプロジェクトをこなしているイライザさん
私はクリスチャンとして、オバマを支持します。彼は博識かつ進歩主義で、先見の明のある人なので、金融危機に陥っているアメリカを救ってくれると信じています。そして、彼は、環境から世界の貧困、そして、アメリカの中流階級の人口減少に至る様々な問題について、必要に応じてその課題解決のための行動を起こすでしょう。さらに、問題だらけのアメリカの医療システムに関しても、彼は現実的な解決策を提示し、正しい準備をしているようです。
少なくとも富裕層や特権階級を優遇し、「トリクルダウン理論」を過去8年間擁護したことで、アメリカだけではなく世界に貧富の差を生じさせた共和党には反対です。
アメリカ国内の恵まれない人を助け、富を均等に行き渡らせることを明確に願う候補者に投票します。投票日には10歳になる娘のエラを連れて行きます。おそらく私は、激戦州となるフィラデルフィアで投票する登録をすることになるでしょう。
私は、アイスホッケーをやっている娘に面白いTシャツを作りました。片側には「クリスチャンと、信用できる民主党、変革の時に捧げる」と書いて、反対側には「ホッケー・ママ(「子育て真っ最中の平凡な母」の代名詞)は、オバマが大好き!」と書いたのです。これは、“ホッケー・ママ”であることを強調して庶民性をアピールし、高感度を上げたサラ・ペイリンを揶揄(やゆ)したジョークです。




