(文=中村 孝則:コラムニスト)
つい先ごろ、東京ミッドタウンにあるサントリー美術館でお茶のお手前をした。僕が所属する「男・着物の会」が主催して、そのお仲間や知人の方々を50人くらいお招きした。この「男・着物の会」は、ユナイテッドアローズ会長の重松理さんや、際コーポレーションの中島武さんたちが所属する着物のサークルである。男が着物を着るという嗜みや、和服文化を見直そうという目的で結成されて、かれこれ5年以上も活動を続けている。会では、季節ごとに様々な和のアトラクションや文化活動を行い、男全員が必ず着物で参加する。言ってみれば、着物を巡る男のサロンであって、東京を舞台とした“旦那的”な遊びの世界を実験する場でもある。今回のテーマは、「東京で催す男の茶会」であったのだ。

サントリー美術館は1961年に丸の内に開館。1975年に赤坂見附に移転の後、2007年の3月に、今の東京ミッドタウンに新しい姿でオープンした
そして選んだ舞台は、東京ミッドタウンにあるサントリー美術館だった。サントリー美術館には『玄鳥庵』という立派なお茶室がある。1961年にサントリー美術館が創立されたとき、つくられた茶室である。『玄鳥庵』は、裏千家十四代家元淡々斎宗匠によって命名された由緒正しいものだ。その茶室は、そのまま今東京ミッドタウンにあるサントリー美術館に移築されている。柱や襖や天井などの古い部材も利用し、建築家の隈研吾氏がデザインを担当。立礼席が改められ、新たに八畳の広間も増築されている。特に立礼席の空間づくりは秀逸で、窓には中敷居が入れられており、上半分が障子だ。下半分は吹き抜けで、敷石が屋外へ続き、外部のモダンなビルの景色へと連なっている。これはこれで、「都会の風景を“禅的”な空間へ」の解釈になっていて面白い。つくばいはビルの吹き抜けになっていて、清涼感も満点だ。




