(文=長坂 道子)
現在(9月14日〜11月23日)ヴェネチアで開催中の第11回建築ビエンナーレ。今年のテーマ「Out There: Architecture Beyond Building」は、箱ものとしての建造物を造るという建築の原初的な機能から大きく飛び出し、建築の持つ意味や可能性をもう一度再考することを目指した、かなり哲学的な試みである。このテーマに沿って、「実験的な試み」を展示することを要請された56の参加国の中、スイスが選んだテーマは「Explorations. Teaching, Design, Research(教育、デザイン、リサーチの探検)」。創造的で活発な建築活動を支えるためのバックボーンともいえる教育、デザイン、リサーチの分野にスポットを当てた意欲的な展示を披露している。

2000年にオープンしたロンドンの「テートモダン」美術館は、コレクションそのものと同等に、その斬新な建築が話題になった。激しいコンペを勝ち抜いて設計事業に当たったのが、スイスの建築事務所ヘルツォーク&ド・ムーロン
スイスといえば、世界一流の建築家を多く輩出することでよく知られている。北京オリンピックのメインスタジアムやロンドンのテートモダンで知られるヘルツォーク&ド・ムーロンや、ミラノのスカラ座の改築を手がけたマリオ・ボッタ、スパの分野でアイコン的な存在である「テルム・ヴァルス」の生みの親として名高いピーター・ズントーといった、世界の賞やコンペで輝かしい名声を欲しいままにする「スター建築家」たちを、人口わずか750万人ほどの小さな国が、これだけ数多く生み出す秘密は一体なんなのか。




