(文・写真=入澤 依里)
ニューヨーカーの心には、由緒正しきものを大切にしようとする共通した精神性が根付いている。歴史的なホテルや書店が記念日を迎えたとき、街を上げて盛大にお祝いすることもあるのだ。
ここでは、今年100歳を迎え、来年1月にリニュアル・オープンする「THE PLAZA HOTEL」、80年の歴史を誇る「STRAND BOOKSTORE」とスパニッシュ・ビストロ「EL FARO」、40年以上に渡り人気のバーガーを供している「CORNER BISTRO」を紹介。それぞれの魅力と歴史の一部を紐解いてみよう。
数多の美しき時を刻んだ「THE PLAZA HOTEL」が、今、甦る
さる10月1日、満100歳を迎えた「THE PLAZA HOTEL」。リノベーション工事が終わっていないまま、この日、各界の著名人や富豪を招いての盛大な“BIRTHDAY PARTY”が行われた。セントラル・パークに面した窓から噴出した花火が「100」の数字を描き、ゲストはもちろん、道行く人々を魅了した。

創業以来、ホットな話題を生み出してきたこのホテル。1964年には、初来米したビートルズが宿泊し、1966年には、トゥルーマン・カポーティとワシントン・ポストの名パブリッシャー、キャサリーン・グラハムが、ここのボール・ルームで伝説的な仮面舞踏会を催した。『ホーム・アローン』などこのホテルが舞台になった映画をご存知の方も多いだろう。
そんな由緒あるホテルを、とある富豪が買い取り、高級コンドミニアムにリノベーションするためにクローズするというニュースに、ニューヨーカーのみならず、世界中のファンが驚愕し、論議を巻き起こした。長年、このホテルに勤めてきたドア・マンなどの雇用についてまでも、話題になった。
結局、このホテルを愛する人々の切なる要望によって、かつての趣を最大限に残しながらも、セントラル・パークを臨む59丁目沿いの眺望の良い部屋はコンドミニアムとなり、58丁目沿いの部屋をホテルにすることに。
コンドミニアムは、もちろん億単位。中には、ヴェルサーチがデザインしたゴージャスな部屋まである(即完売)。300室に及ぶホテルは、700ドル〜の宿泊料が予定され、マンハッタンで最高値となる。オープンは来年1月。以前にも増して、人々に安らぎを与え、歴史に残る素敵な物語を生み出す空間になることを願う。





