(文・写真=入澤 依里)
3年前に引き続き、この夏も、辛口で知られるニューヨーク・タイムズに大絶賛された『平成中村座NY公演』。出演者の中村扇雀丈、中村橋之助丈のお話を交えながら、日本が誇る文化がニューヨーカーに認められた背景や舞台裏を覗いてみよう。

Behind the scene…
7月16日〜22日まで、たった10回限定で行われた平成中村座公演。中村勘三郎、勘太郎、七之助親子による『連獅子』で華々しく幕が開き、ブラック・コメディのような世話物『法界坊』でジワジワとクライマックスを迎えた。
しかし、今でこそ言える話、お金の使い方にシビアなニューヨーカーは、この公演が始まる前、「興味はあるけれど、高いじゃない」と、本公演のチケットの値段について難色を示していた。
実際、リンカーン・センターのエイブリー・フィッシャー・ホールで行われた公演の$25~$250の席は、安価な席から埋まっていった。常日頃、行われるクラシック・コンサートやオペラでさえも$20ほどのラッシュ・チケットやチープ・チケットが出るため、それに慣れてしまっているニューヨーカーには、$250のチケットを買うなんてことは、エンパイア・ステイト・ビルから飛び降りるようなもの!果たして、歌舞伎にその価値があるのかどうか、知る由もなく、ひたすら訝る声が多かった。
しかし、そんなニューヨーカーが演目を選ぶ際の目安としているニューヨーク・タイムズに歌舞伎を絶賛するレビューが出てから、風向きが一転。定価$100の席には$200の値が付き、公演最終日には、エクストラ・チケットを求める人の姿が多く見受けられるなど、大盛況のうちに幕を閉じたのである。





