(高玉 あかね&マルコ・ベルトリ)
ミラネーゼに欠かせないバール
イタリア人の日常生活において、バールはなくてはならない存在といっていい。イタリア全土に15〜16万軒ほどあるというバールの約半数は、ビジネス都市ミラノを擁する北部ロンバルディア州に集中している。ミラノの街を歩いていると、石を投げれば当たるほどバールの数があり、自宅や会社周辺に行きつけのミオ(私の)バールを持つ人が多い。オフィス近くのバールで朝、新聞を読みながらブリオッシュに一杯のカプチーノを飲む。自宅できちんと朝食を取らず、いつも時間に追われているミラネーゼの定番メニューだ。このカプチーノは、イタリアでは朝から午前中にかけての飲み物という認識がある。いつでもどこでもカプチーノをオーダーするアメリカ人や日本人は、彼らにしてみればとても野暮に映るらしい。
カフェ文化が盛んだったヨーロッパでは、今でも長い歴史を誇る老舗のバールが市内に数多く存在する。1817年創業、モンテナポレオーネ通りに堂々と君臨する“Cova”は、白衣に蝶ネクタイの熟練バリスタが、場所柄お金持ちのマダムやスーツ姿のエグゼクティブビジネスマンの常連客を相手に、ジノリのカップで優雅にサービスしてくれる。
全国チェーン“Lino's coffee”の登場

さてこれほど多いミラノのバールだが、創業100年以上の歴史を刻んだ老舗のバールと並び、その地域に根ざしたバールは、新旧問わず個人や家族経営というのがこれまで一般的であった。しかし最近、全国チェーン規模で人気を博している“Lino's coffee”の登場で、バール事情が少し変わって来たようだ。
「コーヒーを飲む味がアートになるとしたら」&「コーヒーもテイスティングできたら」この哲学に基づいてイタリア、パルマで誕生した「リーノス・カフェ」は北イタリアにあっという間に広まり、現在国内だけでなくヨーロッパ諸国にまで発展している。スターバックスに代表されるシアトル系カフェも、いってみればイタリアのバールが源流だが、本場イタリアで生まれたリーノス・カフェが、今後世界に向けてどんな展開をしていくのか興味深い。




