
普通の人にはジャガーに見えても、このデイムラーの「フルーテッド・グリル」はオーナーの密かな誇りになる。
シルクのような走りと高貴なインテリアは別世界を思わせた
表題の「DD6」はそうした歴史を受け継ぎつつ1979年に誕生したもの。少量手作りの生産だけをしてきたデイムラー社は、1960年にジャガーに吸収され、以来ジャガーのボディシェルを利用したモデル作りをしていた。この「DD6」もジャガー・シリーズⅢのボディ、シャシーを使い、シンボリックな「フルーテッド・グリル(波形模様の)」と「D」のエンブレムとでデイムラーであることを主張した。エンジンは60度V12気筒SOHC5343ccで、もともとはジャガーEタイプのために開発された。しかし、燃料噴射装置などを導入し295PSにチューニングされた「DD6」用は絶妙で、「シルクのような……」と形容されるテイストは、まさに「DD6」の走りに相応しい。
3段オートマティックのギアボックスをはじめ、ブレーキを含む足周りなども旧式であったが、シルキーな走りには不満はなかった。
磨き上げられたウッドと本革で構成されるインテリアは、「DD6」のもうひとつのセリング・ポイント。その雰囲気に包まれて走り出せば、なるほど別世界を思わせた。
ジャガー・シリーズは1986年にXJ40系にモデルチェンジするのだが、その後も「DD6」だけは旧タイプのボディシェルのまま5年間以上も生産、販売がつづけられた。そういう伝統を持つ、憧れのモデルはやはり「残しておきたいもの」という感覚が働いたのではないだろうか。
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