
コロナHTは国産車初のハードトップを売り物に登場したもの。BピラーのないHTで、リアクウォータ・ウィンドウの開閉は下方を支点に回転して開くというアイディアが込められていた
小さな味付けが、トヨタ1600GTで模索されていた
組み合わされるギアボックスは、トヨタ2000GT用に5段ギアボックスが開発されたことを受けて、コロナSと共用の4段付きトヨタ1600GT4(RT55)と5段付きのトヨタ1600GT5(RT55-M)とがつくられた。
トヨタ1600GTがトヨタ2000GTの場合と一番異なるのは、ボディ/シャシーにも量産車のそれを使ったことだ。先のも述べたように、トヨタにとっても主力小型車であったコロナ、その三代目にあたるRT40系がベースになった。RT40系は、トヨタの長年の念願だった打倒ブルーバードを実現した最初のモデル。1964年に発売され、好調な売れ行きのもと、翌年には国産初という謳い文句でピラーレスのハードトップを加えていた。
基本的にはシャシー、サスペンションもろとも、そのボディシェルを利用。それに、いくつかの味付けを加えた。その味付けというのは、トヨタ2000GTゆずりのエンブレム、砲弾型ミラー、フェンダ部分のエア・スクープといったディテールだが、それでもクルマ好きに対する訴求力は大きく、トヨタ1600GTをして唯のコロナとは違うプライドを植え付けた。そして同時に、イメージリーダーとしての役をも担い、コロナRT40系全体にも好影響を及ぼしたのはいうまでもない。
小さな味付けがクルマの性能よりも売れ行きを左右する、そんな印象さえ与える事例が少なくないが、逆にいうと、その味付けのポイントが、このトヨタ1600GTで模索されていたのではないか、そんな気がしてちょっと注目しておきたくなるのである。
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