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「ブリキの犬小屋」などと称された最初のプロトタイプ。シトロエン2CVの目指すものがよく分かる。フランスの本社に保管中。

シトロエン2CVの最大の美点は乗り心地

具体的なハードウエアはこうである。エンジンは空冷水平対向2気筒OHV。当初のモデルは375ccの排気量から9PSの出力を得た。シトロエン2CVの「2CV」は「2馬力」という意味なのだが,それはフランスの課税馬力を表わすもので,実際のパワーは9PS,のちのモデルでは602cc,28PSまでになったが,名前は相変わらず「2馬力」であった。

シトロエン2CVの最大の美点というべき乗り心地を生み出すサスペンションだが,前後の中央にあるコイル・スプリングと慣性を利用したダンパーを持つリーディング・アーム/トレーリング・アームの関連懸架。ロールは大きいけれど,実にソフトで,篭に山盛りのタマゴが壊れないというのも頷ける乗り心地だ。

ホイールベース2400mm,決して小さくないボディだが,巧みに選ばれたギアレシオで結構軽快に走ることができた。カンバス張りのルーフ,ハンモック状のシートなど割り切りのいい選択が積み重なって,シトロエン2CVは独特の存在となったのだった。

世間一般の評判はさておき,シトロエン2CVは大衆の間にたちまちのうちに広まっていった。大仰にいえば,フランスの風景になくてはならない存在のようになっていった。文字通り,ベーシックカーたり得た,というわけである。

 

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いのうえ・こーいち

理工系大学院修了。日本写真家協会(JPS),日本写真作家協会(JPA)会員。
主な連載誌は,小学館「ラピタ」,日本カメラ社「日本カメラ」,エイ出版「東京生活」,サドルシューズ「ミニフリーク」など。クルマをはじめとして,乗り物全般を愛好する。著書には「客車好き」(JTBパブリッシング),「ぼくの好きな時代,ぼくの好きな車たち」(エイ出版),「クルマ好きはやっぱりフェラーリが好き」(二玄社),「アルファ156」(経林書房),「世界の自動車100点」(講談社),「世界の名車」30巻(保育社),「男の鉄道ホビイ」(エイ出版社)などがある。

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