(写真と文:三井 公一=サスラウ)

再開発が始まる直前の二子玉川
カメラ:RICOH GR DIGITAL
河畔にそそり立つタワーマンションに登ると、流れの向こうには同じようなタワーマンションが林立する武蔵小杉と、遠くに横浜ランドマークタワーが見える。眼下にはゆったりと流れる多摩川と東急田園都市線・大井町線の二子玉川駅が見えた。
二子玉川駅前のバスロータリー方面に向かうと、以前あった東急ハンズや商店街が姿を消し、更地になっていた。バス停の立て看板には、立ち並ぶタワーマンションとオフィスビルの絵が描かれている。長年沈黙していた都内最大級の再開発「二子玉川東地区第一種市街地再開発事業」がスタートしたのだ(関連記事)。この事業は約11.2ヘクタールという広大な敷地を約3年間で再開発するもので、道路および交通広場をはじめ、タワーマンション、オフィスビル、ホテル(第2期)、商業施設を建設する計画だ(関連リンク)。
水と緑に囲まれた街、二子玉川の人気は相変わらず高く、週末になると、日本のショッピングセンターのパイオニア「玉川高島屋」への買い物客がものすごい。田園調布や成城という優良な商圏を持つ強みを見せつけられる。ベビーカーを押した若い夫婦、女性同士の買い物客や家族連れで混雑しているし、多摩川河川敷に憩いを求める人々も多い。夏期だけ河原に現れるカフェも大賑わいになる。
再開発によって心配なのは、多摩川と国分寺崖線に代表される二子玉川の自然だ。多摩川に出て上空を見ればチョウゲンボウが空を飛び、野川では小魚を捕るカワセミやコサギが見られる…という環境が破壊されるのではないか? ということだ。この素晴らしい地域の魅力を保全した再開発でなければ意味はない。
再開発事業地に隣接する都立玉川高校。この高校は再開発に歩調を合わせるかのように閉校となった(4月に移転して世田谷地区総合学科高校となる)。3月1日に88名の最後の卒業生を送り出し、53年の歴史に幕を引いた。卒業式と閉校式の終わった校舎の3階に登った。写真を撮ろうと窓を開けると、ポトリとヤモリが落ちてきた。口を開けて威嚇するヤモリの向こうに再開発のクレーンが見えた。




