幅広いジャンルで活動するリリーのこと、今回の経験をきっかけに監督などにチャレンジしてくれるのではと、周囲は当然期待するはずだが。
「そういうお話はときどきもらうけど、たくさんの人と仕事するのが苦手なんですよ。でも橋口さんの現場を見て、なによりもいい勉強をさせてもらった。もしやるとしたら、自分が出ないほうですね。監督するなら脚本も書くし、脚本書くんだったら自分で監督する。編集も自分でやると思う。いくつかアイデアもあるけど、恋愛映画じゃないでしょう。あと、怠けている女をさらに甘やかすような映画は撮りたくない。そういう女に仕返しするための映画だったらいいかも(笑)」
これはかなり脈がありそう。みなさん、初監督作品が発表されるのをお楽しみに──。
ストーリー 出版社に勤める妻・翔子と、靴の修理工から法廷画家に転じる夫・カナオ。どこにでもいるような2人を、子どもの死という悲劇が襲う。何事も几帳面な性格ゆえか、そこから少しずつ精神を病んでいく翔子を、カナオは包み込むように支えていく。舞台は90年代初頭からの10年間。法廷でカナオが目にするさまざまな社会的事件を織り込みながら、何があっても決して離れない夫婦の絆を、優しく丁寧に描き上げる。
大橋 希(おおはし・のぞみ)
1970年東京生まれ。1992年東京大学文学部卒業。フォーブス日本版編集部を経て、現在、ニューズウィーク日本版編集部在籍。翻訳・編集のほか、家族、教育、社会問題の取材・執筆を行っている。近著に『セックスレスキュー』(新潮社刊)がある。