まとめ:「ブランド」もしくは「安さ」「わかりやすさ」…
“安心”がないと今クルマは売れない
今や日本で売れるのは高級車、それもみんなが知っており、「いい」というイメージが定着したブランド車か、もしくは特別高くはないが「定番」のイメージが確立した実用車、そして使い易くて安い軽自動車しか売れない。
なんというか、「乗ればいい」とか「実はいい」では売れないのだ。見た目、車名、車名の響き、人の意見、すべてがパッと直感的に頭に飛び込んできて、すぐに「いい」と判断できないと売れない時代なのである。
それは雑誌でもそうだ。
私自身そうだが、一生懸命原稿を書いても、メジャーな雑誌に載らない限りほとんど反響がない。こう言っては悪いが、中身は読んでないのだ。まずは外見、イメージで決まる。その後の味わいは、良くて当たり前。悪いとやっぱりダメ。
それを如実に感じたのはポルシェ カイエンである。カイエンはもちろんいいクルマだが、正直、私たちプロからみると他にもいいSUVは沢山ある。ポルシェは値段、品質ともにやや過剰気味だ。もちろん、真価が分かる人には最高だが。
ところがカイエンばかりが売れる。聞けば特にクルマにあまり興味のない女性に人気だとか。それは悪いけれど、自分の目でモノを確かめてない、判断してないから起こりうる現象だ。回りの目やその他精神的ブランド価値でのみクルマを推し量っているからなのだ。
極端な話、タントにだってそういう部分はある。もちろん広くて便利には違いない。だが、買ったユーザーの中には、広さを持てあましている人間もいるはずだ。無駄に広いスペースを、高いガソリンを使ってただ運んでいる場合もありうる。
ただ、それはユーザーばかりを責められない。買い物は難しいし、人々は不安で、どこかによりどころを求めている。おそらくこの不安定な時代もそうさせているのだ。
しかし、明らかに不幸なこともある。例えばスバル・エクシーガ。大変良くできたユニークな7人乗りの3列シートミニバンだが、一見そう見えない。ちょっと大きめのレガシィのようで、7席すべての居住性と視界がいいとか、実はスポーツカー並みにハンドリングがいいようには見えない。
だが、実はそうなのだ。そして残念ながら、中身が正しく理解されてないためいまひとつ人気がない。それはスズキ・スプラッシュもそうだ。クルマ好きには評価が高いが、最初にパッと値段とカタチで判断する層には、あまり訴えない。
まことにもったいない話だが、それが現実だ。“いい人”が必ずしもモテないように、“いい物”が必ずしも売れるとは限らない。不況な今、不安から人々はチャレンジを拒む。結局、安心できる買い物が勝つ時代なのだ。





