ハンディのビデオカメラで撮影された激しく揺れる画面。そこに映し出されるのは、ニューヨークの街が何者かによって蹂躙され、逃げまどう人々の映像だ。これは映画の予告編のはずなのに、映像に映る人々は、ただただパニクるばかりで、そこで一体、何が起こっているのかを伝えてはくれない!
クローバーフィールド──。まるで符号のように付けられた、この映画のタイトルをご存じだろうか? 知っている人は、それなりのアンテナ人間に違いない。なぜなら、この映画は、あまたあるハリウッド大作とは異なり、謎を明かさないプロモーションを展開しているからだ。
正式タイトル『クローバーフィールド/HAKAISHA』は、人気ドラマ『エイリアス』や『LOST』を手がけ、トム・クルーズ主演の『M:i:Ⅲ』では監督も務めたJ.J.エイブラムスが放つ、これまでにないタイプの映画だ。「これまでにない」理由の1つが、単に鑑賞すること以上に、体験することに意義がある作品作りをしている点。その体験を伝えるために、まずは私自身のこの作品との出会いを話していこう。






