前作『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー賞8部門にノミネートされ、監督賞などを獲得。同時にヴェネチア映画祭でもグランプリ(金獅子賞)を獲得したアン・リー監督。それからわずか2年。前作以上に挑発的な内容で、再びヴェネチアのグランプリを制したのが、この『ラスト、コーション』だ。
時は1942年。日本占領下の上海で、傀儡政権特務機関の顔役イーの懐に飛び込み、命を狙う女スパイがいた。やがて、待ちに待った暗殺の機会が訪れ、仲間に連絡を取る彼女。だが、その顔はどこか浮かなく見える。話はその数年前にさかのぼる──。
1938年。日本軍の侵攻から逃れ、香港に移住した女学生のワンは、女友だちのライに誘われ、香港大学の演劇部に入部。そこで、反日活動に燃える男子学生のクァンと出会ったことから、彼女の人生は大きく変わり始める。
クァンが演出する愛国心溢れる舞台に主演女優として立ったワンは、観客総立ちのフィナーレを迎え、仲間とともに高揚感を味わう。その余韻も冷めやらぬ中、クァンが計画したのは、傀儡政権のイーの暗殺だった。

物語はここから、スリリングに満ちた展開を見せる。ボディガードが常駐し用心深いイーに近づくため、演劇で培った演技力を生かし、ワンがお金持ちのマイ夫人になりきり、イーへの接近を諮ろうというのだ。最初の一歩は夫人に取り入ること。これに成功したことから、ワンは少しずつイーへと近づいて行く。




