今年のアカデミー賞で4部門に輝いた『ディパーテッド』。長年、“賞の神様”から見放されていたマーティン・スコセッシに監督賞をもたらしたことも話題になった。この映画の元となったのが、2002年末に香港で公開され大ヒットを記録。その後、世界中を魅了することになる『インファナル・アフェア』だ。そして今、その製作チームが再びタッグを組み、心に深い傷を負った男たちを描いた映画が誕生した。
物語は03年のクリスマスからスタートする。女性ばかりを狙う凶悪犯罪者の逮捕に向け、刑事のポンは上司のヘイと追跡。だが、ようやく一仕事を終え、自宅に戻ったポンが目にしたのは、自殺をしてしまった最愛の恋人の亡骸だった。
3年後──。ポンは恋人の死から立ち直れず、刑事を辞め、しがない私立探偵をしている。一方、上司だったヘイは、香港の実業家チャウの一人娘スクツァンと結婚。幸せな生活を送っている。だが、1つの事件がすべてを変えていく。スクツァンの父チャウが、何者かにより惨殺されたのだ。一体なぜ?
スクツァンに頼まれ、真相解明に乗り出すポン。何者かに狙われはじめるスクツァン。そしてヘイ。3人を巻き込み物語は、深く根深い闇へと突き進んでゆく。
この映画の根底に流れているのが、タイトルを見てもわかるとおり、男たちが背負う暗く哀しい過去。マフィアに潜入した警察官と警察に潜入したマフィアというシチュエーションで、潜入捜査官の苦悩を鮮やかに描いた『インファナル・アフェア』同様、本作でも、ポンとヘイの2人が背負う苦悩が、映画に深みを与え、見る者の心の奥底にまで響き渡る。
ポンを演じたのは金城武。ウォン・カーウァイ監督作の『恋する惑星』と『天使の涙』で、日本のみならずアジア中を虜にした彼が、チャン・イーモウ監督の『LOVERS』、ピーター・チャン監督の『ウィンター・ソング』などを経て、背中で演技できる大人の俳優へと成長し、この映画の魅力を高める。





