物語も後半になると、アチコチからすすり泣く声が聞こえてきた──。それは映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(以下、東京タワー)』のマスコミ試写を見た日の話だ。年に何百本も映画を見る“映画マスコミ”と呼ばれる人たちが、スクリーンの中で展開しているボクとオカンの物語に、目を真っ赤にしているのだ。
『東京タワー』の原作は、200万部を超えるベストセラーとなったリリー・フランキーの自伝小説。もともとは扶桑社の「en-taxi」誌上で連載されていた作品で、2005年に単行本化されるや、「泣ける」「号泣した」という評判が巷を駆けめぐり、全国の書店員が選ぶ「本屋大賞」にも輝く。
その後、この本をベースに2つのドラマが作られることに。1つ目は昨年秋に放映された単発ドラマで、ボク役に大泉洋、オカン役に田中裕子がふんしていた。2つ目が、今年1月にはじまった連続ドラマ。こちらはボク役に速水もこみち、オカン役に倍賞美津子という配役だ。
そして今回、満を持して登場したのが、この映画版。ここまで来ると楽しみになってくるキャスティングは、ボク役にオダギリジョー、オカン役に樹木希林を配したほか、若い頃のオカン役に樹木の実の娘の内田也哉子がふんしている。
物語はボクとオカンの関係を中心に綴られていく。1960年代の九州。両親が別居してオカンに引き取られたボクは、15歳で独り暮らしをはじめ、大学生になって上京してからもオカンには迷惑をかけっぱなしだ。そんなボクが、やがてオカンを東京に呼び寄せ、一緒に暮らせるまでになるが、その幸せは長くは続かない──。





