すでに殺された女性を救えるか──。デジャヴ(既視感)というテーマの中に、そうしたエッセンスを取り入れたサスペンス映画が、3月17日公開の『デジャヴ』だ。一筋縄ではいかない物語運びや、時折かいま見えるラブストーリーの要素は、お子様仕様のハリウッド映画が多い中では異彩を放つ。主演が2度のアカデミー賞に輝くデンゼル・ワシントンであることも、アダルト風味に磨きをかける。そんな本作の魅力に迫ってみた。
物語は、500名を超える犠牲者を出すフェリー爆破事件から幕を開ける 。この事件を捜査することになったATF(アルコール・タバコ・火器局)のダグ・カーリンは、鋭い直感力と分析能力を発揮し、地元警察やFBIを仕切るほどの活躍を見せる。
そうした中、ダグは、事件の手がかりを握る美しい女性の遺体と対面。彼女の名前はクレア。初めて見る女性だが、なぜか彼は「彼女を知っているのでは?」という不思議な感覚を覚える。それは爆破事件に巻き込まれて死んだことを偽装しているものの、検死の結果、事件の1時間前に殺されていたことがわかる。一体、なぜ? さらにダグは捜査を進めるうちに、次々と不思議な事実に直面することとなる。
物語の前半を彩るのは、まさに不思議の連続だ。捜査のために訪れたクレアの家では、「君は彼女を救える」と書かれたマグネットや、ダストボックスに残された血まみれの布を発見する。また留守電には、ダグ自身が残したメッセージまでが残されていた。一体、どうして? 物語が進めば進むほど観客は、深い迷宮へと誘われてゆく。
この映画の素晴らしいところの1つが、そうした「なぞ」の1つひとつが、時の経過と共に次々と明かされていく点。ネタバレになるので詳しくは書けないが、散らばったジグソーパズルのピースピースが見事に合致しながら、ドラマは佳境を迎えていく。





