エネルギーの主役が石炭から石油へと移り変わろうとする中、フラダンスで炭坑町を町おこしするという、ウソみたいな本当の話をモチーフにした感動作が誕生した。
舞台は、昭和40年の福島県いわき市の炭鉱町。男は炭坑夫として働き、女も選炭婦として働くのが当たり前のこの町にも、エネルギー革命の波が押し寄せつつある。そうした中、生き残りをかけた炭鉱会社が構想したのは、炭鉱から出る温泉などを利用して、この町にレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」を作ること。その目玉として、フラダンスを踊るフラガールの募集がはじまるものの、ヘソ出しの衣装に対する偏見や、炭鉱会社による策略ではないかとの勘ぐりばかりが先行し、思うように進まない。
と、そんな設定の中で、映画を盛り上げるのが、登場する3人の女性たちだ。1人は、幼なじみに誘われ、フラダンスをはじめる紀美子。1人は、この田舎町にフラダンスを教えにやってくる平山まどか。1人は、夫を炭鉱事故で亡くして以来、一家を切り盛りしてきた紀美子の母の千代。蒼井優、松雪泰子、富司純子といった世代の異なる3女優が扮し、反発しあいながらも、心の奥深くでつながっている、女たちのドラマを展開する。
中でも、ひときわ輝いているのが松雪泰子だ。テレビドラマ『白鳥麗子でございます!』(93年)でブレイク後、第一線で活躍してきた松雪だが、最近は若手女優の活躍に押され気味。今回、演じた役は、元SKD(松竹歌劇団)の花形ダンサーながら、故あって、田舎町までダンスを教えにきたという設定。一見、お高くとまっているようなキャラや、かつて花形だったというエピソードが彼女自身のイメージと重なり、1人の人物の光と影を、見事なまでに表現している。




