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ヒストリー・オブ・バイオレンス〜自分の知らない夫の素顔とは? 鬼才クローネンバーグのサスペンス

2006年3月16日

本年度の米国アカデミー賞に助演男優賞と脚色賞でノミネート。惜しくも受賞は逃したものの、世界各国のメディアから賞賛を浴びているのが、現在公開中の映画『ヒストリー・オブ・バイオレンス』だ。主人公を演じているのは『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルン役で世界中の注目を浴びたヴィゴ・モーテンセンと、『ER』のマリア・ベロ。2人が演じた仲むつまじい夫婦が、1つの事件をきっかけに信頼を失い、崩壊の危機を迎えてゆく。

米国インディアナ州の田舎町。ここでダイナーを営むトム・ストールは、弁護士の妻エディと2人の子どもと幸せに暮らしている。ところがある夜、閉店間際のダイナーに2人組の強盗がやってくる。従業員や店の客に危害が加わることを怖れたトムは、一瞬の隙をついて強盗から銃を奪い、傷を負いながらも2人を撃ち殺してしまう。

手当を受けた病院から出てきたトムを待ち受けていたのはテレビレポーターだ。正当防衛で客と従業員を救ったトムは、一躍、ヒーローに祭り上げられる。が、当の本人は浮かない顔だ。その事情は徐々に明かされる。

新聞やテレビに取り上げられることで、やってくる怪しげな客。彼の口から飛び出るトムの昔の顔は、人の良いダイナーの主人とは似てもにつかない殺し屋。自分の知らない夫の素顔が少しずつ明かされるにつれ、妻は苦悩し、夫婦の関係はギクシャクし始める。

メガホンを取ったのは、『ザ・フライ』『裸のランチ』などでカルト的人気を誇るデイヴィッド・クローネンバーグ監督。普段だったら“家族ドラマ”の監督を引き受けたりしないクローネンバーグだが、本作では「ごく普通の家庭に暴力が入り込んだら何が起こるか、典型的な家族が究極の状況に追い込まれるところに興味を引かれた」という。

next: 暴力を美化しないクローネンバーグのメッセージ…

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