『ハリー・ポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』など、児童文学をもとにしたファンタジーが映画界を席巻する中、“最後の大物”ともいえるファンタジー小説が映画化された。原作は全7巻からなる壮大な物語で、これまでに29か国で翻訳され、1億部以上を売り上げてきたベストセラー。シリーズ作としては『ハリポタ』に次ぐ世界第2位の発行部数を誇るという。『ハリポタ』と『ロード〜』が一足先に映画化され実績を残す中、満を持して登場した本作の魅力に迫ってみた。
時は第二次世界大戦下。ペペンシー家の4兄妹は空爆を逃れるため、ロンドンから田舎の屋敷へと疎開。そこで兄妹が遭遇したのは、衣装ダンスの中からつながる神秘の国“ナルニア国”。運命に導かれるかのように、この国にやってきた4人は、邪悪な白い魔女により長い冬に閉ざされたナルニア国を解放しようと、正義のライオン・アスランと共に戦うことになる。
原作はイギリスの作家C.S.ルイスが、1950年から7年間に渡って毎年発表したシリーズ小説。ナルニア国の誕生から滅亡までの2555年にも及ぶ物語が描かれている。『ライオンと魔女』は、その第1作目。ルイスは当初、続編を書くつもりがなかったが、出版社や読者の要望を受け、シリーズ化されたという。
そのルイスとは文学仲間で、オックスフォード大学の同僚でもあったのが、『ロード〜』の原作として知られる『指輪物語』の作者・J.R.R.トールキンだ。『指輪物語』と『ナルニア国物語』は、友人同士の作家2人が、ほぼ同時期に執筆して生まれた作品なのだ。とはいえ、細かな描写にこだわるトールキンに対し、ルイスは読者の想像力に委ねる部分が多いなど、両者の個性はまったく異なっていた。
想像力に委ねられているということは、1人ひとりが勝手なナルニア国を思い描いているということ。それだけに映画化は不可能と目されていた。それを可能に変え、ファンを納得させる作品へと昇華させたのが、アンドリュー・アダムソン監督だ。




