トリノの冬季オリンピックまで、あとわずか。フィギュアスケートやスキージャンプといった華やかな競技が話題となる中、今から30年以上も前のオリンピックで起こった痛ましい事件をもとにした映画が公開される。その名は『ミュンヘン』──。
1972年9月5日、ミュンヘン・オリンピック開催中、パレスチナゲリラの“ブラック・セプテンバー(黒い九月)”によるイスラエル選手団襲撃事件が起こった。開催中のオリンピックで起こった未曾有のテロ。それは世界中に衝撃を与えたが、実はこの事件には後日談があった。怒りをあらわにしたイスラエル政府は、テロリストたちへの報復作戦を実行したのだ。
本作は、その報復作戦に、実際に関わった人物の告白をもとに書かれた1冊の本「標的は11人 〜モサド暗殺チームの記録〜」が下敷きになっている。イスラエルの諜報機関モサドは暗殺チームを結成。リーダーに任命されたのは、1人の男アヴナー。人を殺したことなどない彼は、揺れる思いを抱いたまま、妊娠7か月の愛する妻を残しヨーロッパに渡る。そこで、ほかの4人のスペシャリストと共に1人ひとりを消して行くのだ。
メガホンを取ったのは、自身もユダヤ系の血が流れるスティーヴン・スピルバーグ監督。『ジョーズ』や『E.T.』『インディー・ジョーンズ』といった娯楽作を手がける一方で、『シンドラーのリスト』『プライベート・ライアン』といった事実をもとにした見応えのあるドラマも手がけてきた、当代随一の映画監督だ。だが、そんなスピルバーグをもってしても、この映画のテーマの重さに、最初は二の足を踏んだという。




