引きこもりで不登校となった少年に代わって通学することになったのは、なんとロボットだった──。そんな、ちょっと未来の話を描いた映画が、現在公開中の『HINOKIO』だ。ある朝、登校すると、先生が転校生を紹介。入ってきたのがロボットだったことに、生徒たちは騒然。体の一部が檜(ひのき)でできていることから、“カレ”はみんなに“ヒノキオ”と呼ばれることになる。物語は、このロボットを中心に展開。「いじめ」や「引きこもり」といった“心の問題”を扱う一方で、携帯電話やパソコンに続く次世代コミュニケーション・ツールのあり方を提示するなど、見どころも満載だ。ファンタジーでありながら、大人をも唸らせる、この映画の魅力に迫る。
主人公は、事故で母を亡くしたショックから立ち直れないでいる少年・岩本サトル。事故から1年後、不登校児童に対する新しい試みとして、本人が自宅から遠隔操作できるロボットによる代理登校がはじまり、サトルのもとにロボットがやってくる。パソコンの操作によりヒノキオは、人間同様、歩き、話し、クラスに溶け込んでいく。一方でヒノキオの見た映像は、すべてサトルに伝えられていく。そう、ヒノキオはまさに、双方向のやりとりを可能にした、最先端のコミュニケーション・ツールなのだ。
もちろん「引きこもり」のような心の傷が、簡単に癒えるわけではない。とはいえ、劇中、サトルの父親(中村雅俊)は、自分と顔を合わせようとしないサトルと、どう距離をとっていいのかわからないでいる。子どもたちの中にも、問題を抱えている子は多い。この映画は、そうした壊れかけた人間関係が、ヒノキオというロボットを通じて、少しずつだが修復できる可能性を示唆している。あたかも、面と向かって告げられない思いを、一通の手紙にしたためるように……。





