さる5月31日、ウォーターゲート事件の匿名情報源として知られる“ディープスロート”が、元FBI副長官のマーク・フェルトであったとするニュースが世界中を駆けめぐった──。1970年代にニクソン米国大統領を辞任に追い込み、その後『大統領の陰謀』というタイトルで映画化までされたこの事件が俄然注目を集める中、気になる作品が日本で公開される。その名も『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』。事実を元にしたというこの映画は、一体どんな内容なのか? その中身をご紹介しよう。
主人公は平凡なサラリーマンのサム・ビック。彼は、一度崩壊した自分の家庭を取り戻すため、上司の指示に従い向いてもいない営業職に懸命に取り組むが、思うように成績は上がらない。一方、連日のようにテレビから伝わってくるのがウォーターゲート事件だ。愛する妻や子との関係が一向に改善されない中で、いつしかサムの目には、この事件で国民を裏切ったニクソン大統領こそが、悪の元凶に映り始める。やがて、その思いは殺意へと変わり、サムは民間機をハイジャックし、ホワイトハウスに墜落させるという暗殺計画を練り始めるが……。
民間機を使った自爆攻撃というアイデア自体、「9.11」を彷彿とさせるが、この映画の企画は、「9.11」の2年前からスタートしていたという。これがデビュー作となる監督のニルス・ミュラーは、当初、フィクションとして脚本を執筆。その途中で、米国で起こった暗殺や暗殺未遂事件を調べるうちに、サム・ビックのことを知り、自分が書いている物語が実際に存在した話であることに気づく。こうして“実話を元に”書かれた脚本は、主役のサムを演じたショーン・ペンら、多くの映画人の心を捉え、ついに映画化されたのだ。




