旧住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)で約10年前にローンを組んだ人は、この先適用金利が急上昇します。当時の住宅金融公庫の融資は、当初10年間の金利は低く、11年目以降に上昇する2段階金利を採用していたからです。
特に平成10年10月~12月頃に融資を申し込んだ人は、当初10年間が2.0%、11年目以降は4.0%と2倍にもなります。そのため今年の後半から来年にかけて、住宅ローンの返済額が大幅に増えることになります。
最近、上記の対象となる方からの相談が増えているので、今回はその対策について考えてみましょう。
金利上昇による返済額の増加は約20%

借入額2000万円、金利当初10年間2.0%、11年目以降4.0%、返済期間30年、ボーナス返済なしの場合の返済額
11年目以降金利が2倍になるので返済額も2倍になりそうですが、実際には図表(1)のように、仮に当初借り入れ2000万円、返済期間30年の場合、11年目からの毎月返済額増加分は月に1万5000円弱と約20%程度です。金利の上昇率に対して返済額の増加の割合が小さいのは、当初10年間に元金返済が進んで融資残高が1462万円まで減少しているからです。とはいえ、毎月の返済が20%も増えれば家計を大きく圧迫することは確かです。下記はその増加分を軽減するための具体例です。
対策その1 繰り上げ返済
対策の一つは「繰り上げ返済」です。金利が上昇する前に融資残高をさらに少なくしておくことで、11年目以降の毎月の返済額を抑えることができます。
繰り上げ返済の方法には、繰り上げ返済後も毎月の返済額は今までと同じで返済期間を短縮する「期間短縮型」と、返済期間は今までと同じで毎月の返済額を抑える「返済額軽減型」があります。期間短縮型の方が総返済額は少なくなりますが、月々の返済額増加を抑えるためには返済額軽減型が効果的です。
例えば、図表(2)のように、借り入れ後10年目に返済額軽減型で100万円の繰り上げ返済をすると、11年目以降の毎月返済額増加分は8600円程度、約12%の上昇に抑えることができます。繰り上げ返済には手数料が必要ですが、それ以上の返済額軽減効果があります。

10年目に100万円の繰り上げ返済(返済額軽減型)をした場合
なお、繰り上げ返済は借り入れからの実施時期が早いほど効果が高いので、10年目まで待たずに、1カ月でも早く行うとよいでしょう。
対策その2 借り換え
二つ目の対策は「借り換え」をすることです。借り換えとは新たに住宅ローンを借りて、その資金で現在返済している住宅ローンを完済することを言います。旧住宅金融公庫の金利が4.0%に上昇するので、それよりも低い金利で借り換えられれば、毎月の返済額を軽くすることができます。ただし、借り換え費用が発生するので、それを含めて効果を判断することが必要です。
例えば、図表(3)のように、借り換えローンの金利が2.65%(現在一部の都市銀行で実施)、返済期間20年、借り換え費用40万円を含めて1502万円借りた場合、毎月の返済額増加は6800円程度、約9%の増加で済みます。そして、残り20年間の利息軽減効果は188万円にもなります。

10年目に民間金融機関の金利2.65%(全期間固定)、返済期間20年へ借り換えた場合(10年目の残高1462万円に借り換え費用40万円を含めた1502万円を借り入れ)
なお、借り換え費用を負担してでもその効果が得られる目安は、下記の通りです。
一、住宅ローンの残高が1000万円以上あること
一、金利差が年率1%以上あること
一、残りの返済期間が10年以上あること
また、原則として住宅の担保評価が住宅ローン残高よりも低い「担保割れ」の場合には借り換えができません。担保割れでも融資をする金融機関もありますが、勤務先や年収など融資条件が厳しいケースが多いようです。したがって、借り換えを検討する場合には、事前に融資の可否や効果について金融機関に相談する必要があります。
対策その3 返済方法の見直し
旧住宅金融公庫融資の繰り上げ返済は100万円以上の資金が必要です。それだけの貯蓄がない人もいるでしょう。さらに担保割れで借り換えもできない人もいると思います。
このような場合、11年目以降毎月の返済が厳しくなったら、住宅金融支援機構や取り扱い金融機関に相談すれば、一定期間にわたって毎月返済額を減額してもらえることもあります。ただし、減額期間後は返済額が増加して、総返済額も増えることになります。結果として負担が増してしまうので、できるだけ避けたいものです。
まずは手元の返済予定表で、11年目以降の毎月返済額を確認することと、今から繰り上げ返済をしたり、金融機関に借り換えの打診をしておくことをお勧めします。




