米国におけるサブプライムローン焦げ付きの影響によって、住宅ローン担保証券(RMBS)を束ねた債務担保証券(CDO)などの価格が暴落しました。証券化で投資商品が全世界に拡大したことにより、世界中で負の連鎖を生んでいます。今後、CDOへの投資は慎重になると思われます。
2001年1月に米国金融監督当局が出した通達によれば、金融機関によって多少の違いはあるものの、サブプライムの対象者は、
- 過去1年以内に1カ月延滞を2回以上、または過去2年以内に2カ月延滞を1回以上
- 過去2年以内に抵当権の実行、債務免除
- 過去5年以内に破産
- 返済負担率50%以上
などとなっています。
低所得者が変動金利型を利用
金融機関が貸出額の増加を見込んで審査基準を緩和させていったため、サブプライムローンの利用も2004年から2006年にかけて急増しました。米国では金利上昇リスクのない長期固定金利型の利用が圧倒的に多いのに対し、サブプライムローン利用者の多くは、金利上昇リスクがあっても当初返済額の少ない短期変動金利型を利用しています。
具体的には、住宅ローン利用者全体では15年固定、30年固定といった長期固定金利型の利用が80.4%なのに対し、サブプライムローン利用者では72.7%が2年固定や3年固定の変動金利型を選択しています。折りしも短期金利が上昇してしまい、金利見直し時期に返済額が急増したため、延滞率が15%にも達しています。今後も続々と金利見直し時期が到来するので、延滞がさらに増加することが懸念されます。
日本でもサブプライムローンと同じような現象
しかし、米国のサブプライムローンは決して他人事ではありません。わが国にも同じような現象が起きています。
わが国の最近の住宅ローン利用状況でも、世帯年収が低い層ほど高額な「100%ローン」の割合が高く、返済負担率も高めになっていて、さらに金利変動リスクのある変動金利型を選んでいます。
2006年4月から2007年4月までの民間住宅ローン利用者に対する住宅金融支援機構のアンケート調査によると、
- 担保比率(一般には80%)が「100%ローン借入」の利用者は、住宅ローン利用者平均の27.2%に対し、年収400万円以下の低所得者では38.7%と高くなっています。うち、付随費用含む100%超ローン利用者が4.5%います。
- 返済負担率(一般に年収の25%以内が無理のない負担率)が25%を超える利用者は、住宅ローン利用者平均の14.9%に対し、年収400万円以下では21.3%と高くなっています。
- 金利上昇リスクの高い変動金利型を選択する利用者も、所得が低く担保比率の高い人が多くなっています。頭金を準備して残額をローン借入する人が19.5%に対し、100%ローン利用者は29.9%が変動金利型を選択しています。
変動金利型のローンの利用は、固定金利期間や優遇金利の終了後、大幅な返済負担増になります。たとえば、年収500万円の人が、3000万円を3年固定の優遇金利当初1.15%(4年目以降3.5%)・30年返済で借りた場合、当初の返済負担率は25%ですが、4年目以降は34%に増加します。この場合の年収は税込み、社会保険料込みなので、可処分所得で計算すると実に40%もの返済負担率になります。これでは返済をしていくことは困難でしょう。
マイホームプランをもう一度考え直す
今や、多様な資金調達のために行う住宅金融支援機構や民間金融機関のRMBSはますます増加しています。しかし、最近の住宅ローン供給の加熱による担保比率不足や返済負担率の高い利用者との取引は、投資家に、米国のサブプライムローンの悪いイメージを連想させる可能性があります。住宅金融支援機構のRMBSは、個人の信用リスクがないため発行が減少することはないでしょう。しかし、民間金融機関はその影響を受けないように良質の住宅ローン債権にするために、融資審査をいっそう厳格化することが予想されます。
昨年成立した住生活基本法の趣旨を理解し、「新築から中古へ」「購入から賃貸へ」、無理のないマイホームプランを考えてみてはどうでしょうか。




