ルーツ・ミュージックの伝道者
ミュージシャンにファンが多いと言われる玄人好みのギタリスト、ライ・クーダーのファースト『ライ・クーダー』。収録曲のほとんどが黒人のブルースをアレンジし直したもので、ファーストアルバムだがかなり渋い仕上がりになっている。1970年の発売なので、このときライ・クーダーは23歳。ちょっとシブ過ぎる気もする(アマゾンで試聴できる)。

ファーストアルバムの『ライ・クーダー』(店先にて)
デビューアルバムの1曲目は「アリモニー」。出だしからこの気だるさである。とはいえ、この手のジャンル(ブルースやサザンロック)が好きなヒトにはたまらないサウンドのはずだ。アンプのボリュームを上げてナチュラルに歪んだギターが、けっこうな音量でフィーチャーされているのに不思議とうるさくない。ギターの名手と言われるゆえんだろう。アルバムの随所で聴けるスライド・ギター(円筒形のガラスなどを指にはめ、弦の上を滑らせる奏法)も、その名演が多くのミュージシャンに影響をあたえたとされる。
ファースト以降はブルースに限らず、ハワイ、メキシコ、キューバ、果ては沖縄まで足を伸ばし、各地のルーツ・ミュージックに触れ、自分流のアレンジを加えて吹き込んだ作品を発表してきた。ライ・クーダーのLPを通してそれら(ルーツ・ミュージック)に対する認識を深めたヒトも多いに違いない。このサイトで以前連載していた「ロック、あの頃、そして今」というコラムでもライ・クーダーを取り上げている(その記事)。筆者はロック一筋数十年の方らしく、じつにためになる内容だった。たしか先月新譜が発売されているはず、チェックしなければ。
古くから歌い継がれた音楽には魂(のようなもの)が宿っている気がする(もちろんそう書いてあった情報からの刷り込みもあるが)。最近はそういう表現をするとき、「ブルースのDNAを受け継ぎ云々」などと言うことがある。日本人が花見(という名の宴会)をするのも、DNAにその情報が埋め込まれているのではないか──。などとテキトーなハナシをしながら、花見は続くのであった。




