(聞き手:大沢 玲子=フリーライター)
1957年東京都出身。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局などを経て、2006年から獨協大学経済学部教授。三菱UFJリサーチ&コンサルティング客員研究員を兼務。著書に『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)、『森永卓郎式ニュースの読み方』(日本経済新聞社)、『森永卓郎の庶民株』(光文社)など。
「日本の景気は確実におかしくなっています。株式相場全体がガクッと下がる恐れもあります」。4月末、森永卓郎氏は筆者にこう明言した。日経平均株価がまだ1万7000円台をつけていたころだ。その数週間後、5月初旬に相場は急落した。7月現在も、1万5000円前後を上下している。市場全体が40%もの伸びを示した昨年と今年では何が違うのか。気をつけるべきポイントは何なのか。森永氏に聞いた。
■5月初旬から、相場が低迷しています。その背景をどう見ていますか。
森永 株価が下落した第1の原因は、日本銀行の金融引き締め政策にある。日本銀行が行う金融政策の1つに量的金融政策があります。これは、市場にどれだけたくさんのお金を流通させるか、ということ。世の中に出回る通貨量が増えれば、物価は上昇、デフレ脱却、株価上昇につながります。その指標が「マネタリーベース(世の中に出回っている流通現金+金融機関の日銀預け金)」です。

経済アナリスト 森永 卓郎さん
小泉総理が就任して1年たった2002年4月のマネタリーベースの伸び率は、前年同月比36%増。いまの景気回復のきっかけをつくりました。ところが、今年4月から日銀は、過去に一度の経験もないほどの金融引き締めを行いました。4月に発表されたマネタリーベースの伸び率は同マイナス7.2%、5月は同マイナス15.3%でした。これが相場下落を誘引している。
金融引き締めがさらに強化されるようなら、日本の景気は失速していく可能性が十分ある。福井総裁の失策です。
逆に、マネタリーベースが前年同月比20%ぐらいまで高まってきたら、株価上昇のサインと言えます。マネタリーベースは、日本銀行のホームページで公開されている。チェックしてみるとよいでしょう。




