(聞き手:大沢 玲子=フリーライター)
(前回記事はこちら)
■資産を運用する際、外貨に分散投資すべき、という意見があります。
澤上 多くの日本人は、日本に生きて、日本で死んでいく。大事なのは円資産の最大化です。円での支払い能力を高めておけば、税金がアップしようと、インフレになろうと対応できる。私は、長期的に日本株は強いと見ています。だから、むやみに為替リスクをとる必要はない。

さわかみ投信 代表取締役 澤上 篤人さん
日本国内の経済成長率が鈍化したとしても、状況は変わりません。日本で上場している、世界経済の成長に乗って長期的に伸びる企業の株を買っておけばいい。優良な企業は、世界中に拠点を持ち、グローバルな市場を抱えています。
インフレや円安になっても、輸出産業は伸びる。だから、そういうときは輸出関連の株を買っておけばいいわけです。1980年代のブラジルは、すさまじい通貨安とインフレに襲われました。そのときも輸出関連企業の株価上昇率はインフレ率よりはるかに高い伸びを示しました。
為替変動の予想は、生やさしいものではない。自分の基軸通貨をはっきりさせ、可能な限り為替リスクから離れたほうがいい。
■長期投資をする上で、損切り(※)はどのようなタイミングですればよいですか。
澤上 損をしているからといって、その株を売ることはありません。
ファンドの銘柄の入れ替えをするのは、「ある企業を応援する気がなくなった」、「経営トップが変わって、会社の経営方針が生活者の意識に沿わないものに変わってしまった」という理由です。赤字であっても、黒字であっても、将来に向けてちゃんとした経営をしているかどうかで判断します。
応援したい企業の株価が下がったら、しっかり買う。買った株の株価が上昇して「過熱してきた」と思ったら少し売る。そのくり返しで、ゆったり資産を増やしていけばいい。
目先の値動きで、ガツガツする必要はありません。だいたい5〜6%ぐらいの運用結果を出せればいいと思います。成熟社会における経済成長率が平均3%弱とすると、物価上昇率も3%ぐらい。デフレが終わって、今後、物価が上昇することを考えても、5〜6%で運用できれば十分でしょう。6%ということは、「12年で2倍になればいい」ということです。
※:損切り=購入した株が値下がりしている状態で、損失を承知で売却すること




