想像を絶する「数奇な運命」
イランで暮らしていたころから女優になるのが夢だったという。
「これまで声優の勉強などもしてきましたが、実際に体を使って演じるというのはまったく違いますね。何でこんなことできないのかと泣くこともありますが、でも、いまはとても楽しい。充実していて、全然疲れません」
しかし、長いこと、その夢を忘れていた。というより、夢に触れることを恐れ、遠巻きに生きてきた。
どうしてか?
「生きていくのに精一杯だったから」
そう答えてくれた。掛け値なしに精一杯だったのである。
「イランでも、日本に来てからもいろんなことがありましたから」
彼女の生きてきた軌跡について語るとき、つい「数奇な運命の」という枕詞をつけたくなる。初のエッセイ『戦場から女優へ』のタイトル通り、私たちが想像もつかないような苛酷な状況をくぐりぬけ、今日に至っているのだ。
ただ、普段、話していて、それを感じさせることはない。
笑顔を絶やさず、口調も明るい。
「昔は暗かったんですよ(笑)。でも、あるとき、これじゃいけないと思って、自分を変えたんです」
その口から語られる過去は、「辛い」などという言葉が吹っ飛んでしまうほどに重く、暗い。





