(インタビュー・文=山村 基毅 写真=小川 拓洋)
<前編はこちら>
「礼法を学びにいらっしゃる方には、たとえばIT関係のお仕事に就かれている方も多いのです。普段は、PC機器を使って他者とコミュニケーションを行ってはいるものの、直接話をする際にはどのようにするとコミュニケーションが円滑になるかは分からない。そのようなことから、学んでみようというきっかけが生じるようです」
礼法への関心も高いだけに、教え方にも工夫が必要になってくる。小笠原が気をつけているのは、なぜそのような作法が存在するのかという理由を教えてあげることだという。
それは古文書を読み解いていく中で、しっかりと学んできている。
「すべての作法には理由があります。たとえば挨拶。出入りの多い出入り口に近い側が下座、奥が上座となるのが基本。これを覚えておきますと──最近は椅子の前に立ったまま挨拶を行う方が多いのですが──椅子の下座側に立って挨拶をするとより丁寧であることが分かります。座布団でも、下座側に降りて、挨拶をいたします」
なるほど。恥ずかしながら、知らなかった。
「あるいは名刺ですが、名刺というものは単なる名前が書かれた紙ではなくて、自分そのもの、相手そのものとして扱わなければなりません。ゆえに、片手で差し上げたり頂戴するのは、避けていただきたいものです。丁寧に、気持ちを込めてお渡ししたり受け取るものなのです」
こういうように一つひとつの動作の理由を説明されると、納得できるのである。
すると、今度は教わった場面や状況とシチュエーションが異なるときでも、その場に合わせて対応することができるというわけだ。 「小笠原流と聞くと、初めは堅苦しくて面倒だという印象が強かったけれど、理由が分ると合理性もあり、だんだん面白いと思うようになってきたという受講者も多いです」




