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書道家 武田 双雲に聞く(後編)

2006年6月6日

(取材・文=山村 基毅 写真=望月 豪太)

<前編はこちら

NTTに勤めて2年経ったころ、ある先輩から「字が上手いね」と言われた。

「そりゃあ、上手いですよ。小学生のときから書道やってますから(笑)」

その先輩から名刺の文字を書いてほしいと頼まれ、書いてみた。これが、会社で評判となり、他にも書いてほしいという社員が出てきた。

これはイケるかな、と武田は思いはじめる。NTTに固執していたわけでもないし、営業職に固執していたわけでもない。いつ辞めてもかまわなかった。

いや、何ごとかに固執することのできない性格なのだ。固執すると、そこから離れるのがイヤになる。それが面倒なのだ。

固執しないために他人との距離感や自分との距離感を常に測っているようなところがある。

自分の文字で名刺を作って売る、そんなネットビジネスをはじめてみた。

「店舗をもつなんて考えなかったですね。僕はリスク背負うのイヤだから。臆病だし、面倒くさいのが大嫌い。それで、当時、流行りはじめていたネットビジネスにしたんです。深く考えずにやってましたね。投資もいらないし、店も必要ない。それで、けっこうお客さんから反応があるから面白くてね」

すべてがオーダーメードである。

まず、ネットで注文を受け付ける。どんな雰囲気の名刺か、どんな文字がいいか、そんな要望をフォームに書いてもらう。それで3種類の文字を書き、スキャンしてデザインして発送する。

1人分の名刺で利益はわずか。とにかく時間がかかった。生活費ぐらいは稼げたが、ビジネスにはならなかった。

ただ、知らない人とやり取りして、喜んでもらえたうえにお金ももらえる。そのことが新鮮で楽しかった。

名刺作りが軌道に乗りはじめて半年ほど経ったころ、会社を辞めた。

next: 路上で、書を書いてみよう…

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