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料理人 吉野 建に聞く(後編)

2006年4月18日

(取材・文=小松 宏子 写真=小川 拓洋)

<前編はこちら

話が違う、だまされた、厨房に立てない、労働ビザがおりない……地獄のような膠着状態の中、精神も肉体もすり減らしながら、1年半を棒にふることになる。しかしながら、薩摩男児たるもの、ここで帰るわけにはいかない。

「まず有名店で名前と顔を売ってから、自分の店を持つというのが当初の構想でした。が、こうなったら、無名でも何でも、自分で店を出すしかないという結論に至ったのです」

そしてパリ8区に小さな店を立ち上げるまでには、さらに2年の戦いを要した。

長いブランクの末の開店。スランプの時期はあったものの、店は順調に成長し、顧客もつき始め、ジャーナリズムからの評価も高くなっていった。ミシュランの星も視野に入ってきた。3年目ともなれば「星は確実」という評価のなかで、吉野自身も充分な手ごたえを感じていた。日本のマスコミは特番まで組んで、意気揚々と星獲得の瞬間を待ち、カメラを回した。

しかし、結果は残酷であった。2000年2月、出版されたミシュランに星はなかったのだ。本人の、そして周囲の落胆を思うと実に切ない。ミシュランとは見えぬ怪物なのか……。

next: ミシュランに喧嘩を売る…

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