現状への強烈な危機意識が作品へと駆り立てる
すでに、現在、次作を準備中である。ただ、それについては発言しないように心がけているという。
「もったいぶるわけではないんですけど、他人に話すと拡散してしまうから。これから書きたい小説とかについて話すと楽しいんですよ。ムービーピープルという連中がいて、今後撮りたい映画とかいっぱい話しますよね。でも、たいていそこで終わってしまう。思いが集中してこないんです。だから、あまり口にしないほうがいい」
映画監督としての関心はどうですか?

「僕の小説を映画化した『昭和歌謡大全集』(篠原哲雄監督)なんか見ると、かなり面白いんですよ。ああいう才能ある若い監督が出たなら、僕なんかが撮らなくてもいいかなと思ってしまいます」
では、テレビのトーク番組のホストなどは、と水を向けると、
「もう、いいよ。過去にノリでやったことはありましたけど、とにかく苦痛。もうやりたくないですね」
やはり、村上龍というのは、限りなく小説家なのだろうと思う。テーマが云々とか、時代に対しての発言がどうのこうのという以前に、物語を紡ぎ、読者の前にぽんと提示することが好きなのではないか。だからこそ、小説を書くという作業に関して「苦労だと思ったことは一度もない」と答えられるのだ。
最後に、現代社会に対する危機意識みたいなものはありますか、と聞いた。
即座に、こう答えてくれた。
「現状に対する、何らかの危機意識がないと小説なんて書かないのも確かでしょうね。それも強烈な危機意識があるかもしれない。それをも含めて、すべて作品に反映させているつもりなんですよ」
※本文敬称略




